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ポリゴナルプリズム

・新素材に走るよりも従来の素材を使い構造を見直す

元来、音と木は相性が良く、音楽には欠かせない素材のひとつである事は間違いではないのですが、一方で木の共振をコントロールする事が必要であり、ここに技術が必要になります。スピーカースタンドも振動で起こる共振をコントロールする事はスピーカーシステムと同じす。

全ての物体には固有振動による共振点があります。エネルギーが伝わった時に共振する事は自然の法則によるものです。素材の共振と言う観点から見ると、木製は金属に比べ鋭い共振は起こりずらい反面、固有振動数が低く周りの環境素材と同調し易い。固有振動数とはすべての物体が持っている振動し易い振動数を言います。その物体の固有振動数と同じ周波数を与えると、振動が大きくなり、強さが増す事を共振といい、その周波数を共振周波数と言います。
固有振動数は質量の大きさと剛性により決まります。質量が小さく剛性が大きいと固有振動数は上昇し、その反対の質量が大きく剛性が小さいと固有振動数が低下します。一般的な部屋の構造素材は質量が大きく剛性が低い為に固有振動数は低い周波数で共振が起こり易い。要するに、軽くて頑丈 である事が固有振動数が高く、部屋の構造素材との共振が発生しづらい事になります。音楽性を損なう強い共振は避けなくてはなりません。

個人的には、スピーカーシステムの再生においてはスピーカーエンクロージャーが木製である事を考えると、スタンドも木材を使用した方が良いと確信しておりますが、先にあげたように、木製は周りの環境と同素材の為に、共鳴し易いが故に金属素材等を使い部屋の構造素材との共振点をずらす事は有効な手法です。この様な事から、スタンドは金属製の物が無難で現在は主流ですが、物量の多いスタンドにおいて異なる素材の周波数を足す事による、違和感を覚える事も少なくありません。また、共振は音圧(振動)の大きさにも左右されますが、従来の平板を使った木製スタンドに至っては、部屋の構造素材が似たような低い共振点を持っている事が多く、音圧の小さい段階でも共振が起こればブーミーな不快音となって影響を及ぼすことがあります。

固有振動数はその素材だけで決まる訳では無く、その形状でも固有振動数は変わります。
今回制作した支柱は素材自体の固有振動数を形状により引き上げています。
また、従来の支柱では素材単一の物や充填材に別素材の制振材などを使いますが、このスタンドでは充填材に木材を使い、素材の内部損失とその形状と作用による制振と調音を合わせて行います。

構造的なポイントは3つ
1.構造上その形状を六角形の集合体にする事で剛性をあげ、共振点をあげる
2.種類の違う木材を隣合わせる事で素材の周波数を変化させる
3.隣合う木材の間に僅かな隙間を設け、計測上のディップを発生させる

外側を形成する筒状の構造体、その形状を六角形の集合体にする事で剛性を大きくし、共振点をあげる。また、種類の違う木材を隣合わせる事で素材の周波数を変化させ、さらに隣合う木材の間に僅かな隙間を設ける事で、双方が単独の物体として自由振動する事により周波数の打消し合いがおこり、中低帯域で大きなディップとして計測されます。これは形状と自然の原理を利用した現象です。不快に感じる周波数を他素材を使い、足す事による音の積み重ねでは無く、自然の原理に基づき音を引く事で周波数を整えます。

スタンドは一般的に支柱の縦ラインと底板などの横ラインがあります。
特に横ラインでは、その素材・形状からなる固有の周波数の他に、反射や接点で発生する間接的な周波数が付加されます。その為に横ライン近辺では中低域が自ずと持ち上がります。
支柱の作用は上記を考慮に入れ全体のバランスを取る事に繋がります。

また、音楽にとってこの中低域は最も大事な部分です。良いアンプはこの帯域の質が良い物が多く、この帯域の質により高音での倍音や低音の解像度に大きく影響します。音楽を楽しく聴けるかはこの部分の質に大きく左右されます。部屋で聞く音楽にとって中低域をコントロールする事が良い音で鳴らす事の必須条件です。

上記がこの支柱の大きなポイントです。また、大きなエネルギーが加わった時には、支柱の内側の木材が単体として振動する事でよりその木材の特性を大きく出す事が出来ます。
中に充填する木材は標準でアピトン材を使用します。アピトン材は周波数的に日本の住宅に使う木材と相性が良いです。しかしながらアピトン材の固有の音色が出過ぎると扱い辛い素材です。支柱内に納め良い特徴だけを引き出します。

更に、この支柱の形状・作用を利用したインシュレーターを床との接点に使用します。振動伝達経路が異なる為、支柱とはその作用は異なります。特に強調する部分はスピーカーとスタンドを支える、最終的に振動を床等に伝えるこの部分で重要な事は、床等との周波数的相性とダンピング作用があるかどうかです。ここで言うダンピング作用とは縦振動をダンピングの効いた物で跳ね返りを吸収する事です。スプリング(バネ)を利用した物が既に効果を出している事は皆さんが知る所だと思います。実は木材でもダンピングを効かせる方法があります。木材の木口と言われる方向から振動を伝えるとダンピング効果を得られる場合があります。同じ木材でも振動を伝える方向で反発する大きさが違います。この接点部分は周波数的に大きく音場に影響する部分なので、床と周波数的に相性の良い木材を選択する必要があります。

このインシュレーターは支柱同様、アピトン材を標準仕様にしていますが、中心部が交換可能な為、好みにより交換する事も出来ます。また、その形状の特徴を利用し、並べてボードとして利用する事も出来ます。一般的にボードはその構造上反射の影響も大きいです。このインシュレーターをボードとして利用する場合も木の繊維方向に振動を伝える構造なので、吸収がメインのボードにする事出来ます。

更に一つの構造体では無く、複数の構造体の集合にも出来、また数の調整も可能なので音質調整の幅が広がり、中心部が取外せる構造なので素材の変更、あるいはユーザー独自の仕様にする事も可能になります。オーディオの世界では常識的に言われている事が、自身の環境には合わない事も多々あります。既製品の特徴は一つで変化はしません。個々の感覚や環境が同じでは無いので、その特徴が万人に当てはまると言う事は無く、その特徴に合わせて各々が環境などに手を加えて調整する事は、オーディオならではの特徴と言えます。であれば製品としての基本的な特徴を持つが、環境により様々な特徴に変化出来る物の方が、オーディオアクセサリー製品としての価値は大きい。この製品はそれが可能です。この事により、ユーザーの環境や好みに合わせ、より細かな調整も可能とします。

スタンドではスピーカー安定支持の為に、横ラインの天・底板が必要な場合があります。このタイプでは反射の軽減と反射音の質を考慮する必要性があります。反射には内部反射があります。通常ボード(板)をスピーカー下に敷く場合などは、厚みのある方が良いとされますが、内部反射的には厚い板の方が跳ね返りが強いです。一方、板を薄くすると共振し易いです。板状の物を天・底板に使う場合、上記の事柄を考慮した工夫が必要になります。そこで金属複合素材と天・底板の接合加工を工夫する事で反射の影響を良質な物へと変えていきます。支柱との接合には金属ネジを使いますが、単体の金属素材では周波数的に素材の主張が大きい為に複数の金属を合わせます。更になきを止める工夫も必要です。従来の木製スタンドにおいて支柱と天・底板の結合に単体金属ビスを使う物を多く見受けられますが、金属素材単体と木では音速の違いが大きく自然には交わりません。物の特徴とする場合を除いては金属素材のピークを複合素材で和らげる工夫が必要になります。

上記のような内容で設計・製作したスピーカースタンド及びスタンド部材ですが、音響土台として必要な項目を整理し、幾度となく相反する作用に跳ね返され時間は要しましたが、試行錯誤の結果、ようやく一つの結論に至りました。音の分野は感覚的な部分もあり一概には言えませんが、環境や感覚にも柔軟に対応する自然の原理を取り入れた今までのスタンドとは違う構造体となっています。主観的な感想となりますが、その特徴は音場が広く、陰と陽が混在する彫りの深い音場を提供します。また素直な特性の為に再生機器やアクセサリーの変化にも敏感に反応出来るポテンシャルを有します。

上記の仕様は素材のみの提供では無く、形状と素材における自然作用がある事で製品として成立つ物であり、また特許出願により知的財産権に関わる事象となる為、模擬・模造は御遠慮下さい。メーカー様・販売店様・個人様で興味がございましたら、お気軽に お問合せフォームよりご連絡下さいませ。